究・求・救・Ｑ：臓器移植、待ち望む患者は多い　岡大・大藤講師インタビュー　／岡山
　◇『普通』の医療への分岐点 　改正臓器移植法施行後初めて、本人の書面による意思表示がなく、家族の承諾で行われた脳死判定と臓器移植で、両肺移植手術を執刀した大藤剛宏（おおとうたかひろ）岡山大講師が術後、毎日新聞のインタビューに応じた。大藤講師は「移植は待ち時間が長くなるほどリスクは高まる。患者が移植を待ち望みながら亡くなるケースが多いのが実情だ。移植がもっと『普通』の医療になるかの分岐点になる手術だった」と話す。【石戸諭】 　岡山大病院では両肺が運ばれ、２０歳代の男性患者に移植された。患者の容体は安定している。オーストラリアで移植医としてキャリアを積んだ大藤講師も今回の手術は特別な思いを持って臨んだ。「目の前の命を全力で救うのは同じ。改正法施行後、３週間で初めてでは『遅い』。しかし日本初のケース。決断したご家族の気持ちを思えば、３週間は『早い』と思う。ここで失敗はできなかった」と話す。 　同病院には肺だけで約３０人が日本臓器移植ネットワークに登録して移植を待つ。その中にこんな患者がいる。県外に住む男性は今年に入って病状が突然悪化し意識不明の重体になった。地元
の主治医も「あと３日程度ではないか」と覚悟するほどだった。幸い意識は回復し、日常生活に戻ったが移植を待つ日々は続く。男性は肺移植が可能になった場合、岡山大で手術を受ける。法改正後、大藤医師にこう語ったという。「本当はあきらめていたんです。でも希望が持てました。まだ可能性はありますね」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100812-00000255-mailo-l33